外が騒がしいと思いカーテンを開けたトレーナーの前に跳びこんできたのは目を疑う光景。
逃げまどう人々に、それを追いかけるウマ娘の姿。誰もが見たことがあるだろうそのウマ娘はライスシャワー。彼女は漆黒のステイヤーとして名高く、そんな末脚からは誰も逃れられない。
彼女に追いつかれてしまった者は例外なくその姿を変質させる。髪は美しくも力強さを感じさせる長い黒髪に。体は華奢だが細すぎず、ウマ娘らしく筋肉質なものへと。そして可愛らしくも決して幼過ぎず、奥底に勝利への執念を秘めた顔へと変わる。
速い話、彼女に追いつかれてしまった者は彼女自身……ライスシャワーへと変貌してしまうのだ。
そうして発生したライスシャワーは新たな人を求め走り出す。そしてまたライスシャワーを増やす。
パンデミック……。この街に起こった災害とも言うべきこの状況に誰が対抗できるだろうか。ウマ娘の脚力から逃れられる人間はいない。仮にウマ娘であってもG1を勝利したステイヤーである彼女には速度で勝ててもスタミナで勝てない。
トレーナーはカーテンを閉め、部屋中の施錠を確認する。刹那、ドアがドンドンと強く叩かれる。
「お兄さま、いるんでしょ?」
その声はまさしくライスシャワーの声そのもの。何を隠そうトレーナーはライスシャワーのトレーナーであったのだ。決してその声を忘れるはずが無かった。それが今この状況では絶望となる。ドアと言う一枚の板を隔てて、すぐそこにライスシャワーがいるという事なのだから。
もはやトレーナーに逃げるすべは無かった。
その後もドアを叩く音は止まない。ウマ娘のパワーで叩かれればドアもそう長くはもたないだろう。トレーナーはそれを理解しているのか、覚悟を決めた。
ドアを開け、瞬間にライスシャワーを抱きしめる。
「お、お兄さま!?」
「……すまない」
トレーナは謝罪の言葉を発しながらライスシャワーを抱きしめる。
「俺が間違っていた。青汁もお守りももう使わない。だからもう、こんなことはしないでくれ。遊園地にも温泉にも初詣にも行こう。またあの頃のような楽しい日々を過ごそう……!」
「お兄さま……」
ライスシャワーはトレーナーをぎゅっと抱きしめ返す。
「ライス……」
「ありがとうお兄さま。ライス、その言葉が欲しかったの。でも少し遅かったよお兄さま……」
「それって……うぐっ!?」
トレーナーはもだえ苦しみながらその場で転がる。体が変質し始めていた。
「ライス……」
「ごめんなさいお兄さま。もう全て終わっちゃうの……」
トレーナーの自我は消え、そこにはライスシャワーが二人いるだけとなった。
同時刻、世界人口3兆人あまりが全員ライスシャワーとなった。
そう、ここは米の惑星。
今後千年麦も生えない米の惑星となったのだ。
お借りした物
つかさ様
斎藤プラザ様
魔王魂様
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公開日 | 2022-06-26 23:17:17 |
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